クール上司と偽装レンアイ!?
何だか現実感が湧かなかった。

席に戻っていつもの業務にとりかかる。

朝のリストを出して、皆に配って、自分の担当分をチェックして。

機会的に手を動かすけど、頭も体も凍り付いてしまったようだ。

葵はずっと戻ってこない。

別府課長と打ち合わせをしたり、昨夜のトラブルの件が長引いてるのか他部署に出かけたり、とにかく忙しそうだった。

お昼になるまでついに顔を合わせなかった。

昨日からの出来事は私にとって完全にキャパオーバーだった。

平気なふりをするのも苦しくて、真希ちゃんに助けを求めた。

“紫藤”に入ると真希ちゃんはもう来ていた。

隅の目立たない席を確保していて私を手招きした。

「大丈夫?」

私の顔を見た途端真希ちゃんは言った。

「うん、一応」

「嘘。酷い顔色だよ、何が有ったの?」

真希ちゃんは眉をひそめて言うと、素早く日替わりランチを二つ注文してくれた。

「異動が正式に決まったんだ。来月から埼玉の工場」

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