クール上司と偽装レンアイ!?
「え……」

真希ちゃんは一瞬動きを止めて私を見た。

それからいつになく力ない声で言った。

「そっか……決まっちゃったのか」

「うん、ダメだった。真希ちゃんとランチ来れるのも後少しだよ」

「そうだね。でも帰りにはいくらでも会えるでしょ?」

「うん」

「……ねえ、神崎さんとは話したの?」

「異動の事?」

「それもだけど……」

歯切れの悪い真希ちゃんの様子からぴんと来た。

この前話していた朝井さんとの事を聞いてるんだって。

「異動の事は話せて無い。朝井さんとは今は何でも無いって」

「そう。彩はその話信じてるの?」

「……うん」

「それならいいけど。異動の事もちゃんと話なよ、今後の事も有るんだし」

「それなんだけど、私の後任が朝井さんなんだって」

「ええっ?」

真希ちゃんは本当に驚いたようで目を見開いた。

「どうして? 朝井さんってこの前異動で総務に来たばかりでしょ?」

「そうなんだけど、別府課長が言ってたから決定だと思う」

「変じゃない? こんな短期間にコロコロ異動。しかも彩の後任でしょ? 彼女は神崎さんや藤原さんと同期で中堅社員だよ。今更アシスタントなんてするかな?」

「私だって驚いたけど……」

でも別府課長ははっきり言い切ったし、葵だって納得した顔をしていた。

「人事異動ってさ、2種類有るんだって知ってた?」


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