クール上司と偽装レンアイ!?
「え、知らないけど」

「課長レベルが異動させる人間を決められる場合と、もっと上層部が決定する異動が有るんだって。彩は課長レベルの方の異動だろうけど、朝井さんは違うのかもね。だって仕事を覚え始めたばかりの社員を出すなんて現場の課長ならしないでしょう?」

「分からないけど……」

真希ちゃんと違って私は葵と朝井さんの関係の方ばかり気にしてしまって、人事異動の不自然さを気にする余裕は無かった。

確かにおかしな話な気はするけど。

「朝井さん、何かやらかしたのかもね」

「何か?」

「訳あり異動なんじゃないかな?」

「……そうかもしれないけど、私は朝井さんが購買部に来る事自体がショックだよ。他の事はあまり考えられない」

本音を漏らすと、真希ちゃんはハッとした様子で言った。

「そうだよね、ごめん。彩の気持を考えれば神崎さんの近くに朝井さんが来る事が耐えられないよね」

「うん。今の二人は何も無いって信じてるけど、でも心配だよ」

昨日聞いた葵の過去の想いは真希ちゃんにも言えない。

だけど私の心の不安は伝わったようで、真希ちゃんは言葉を選ぶようにして言った。

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