クール上司と偽装レンアイ!?
結局ろくに会話も出来ないまま葵は外出してしまった。

仕事だから仕方無いけど、やっぱり辛い。



その夜の12時過ぎ、ようやく葵から連絡が入った。

「悪い、こんな時間に」

葵の第一声に、私は自分の部屋のベッドに腰掛ながら答える。

「大丈夫だよ。今まで仕事だったの?」

「いや、仕事の後、少し用が有った」

「……用?」

「ああ。遅くなったけど彩と少しでも話しておきたかったから」

「うん……」

急がしいのに電話をくれたのは嬉しい。でも、私と話すより先に済ませた用って何だろう。

そんな考えが浮かんでしまい、慌てて振り払う。

昼間に真希ちゃんも言っていた。

『悪い想像に負けないで強くなれ』って。

少しの沈黙の後、葵は気まずそうに言った。

「まどかの事、突然で驚いただろ?」

「うん。葵は知ってたんでしょ?」

「ああ。昨日聞いて彩に話そうとしたけど連絡がつかなかった。本当はあんな風に急に言うつもりは無かったんだ」

昨夜の葵のいつもより多めの着信。

私に朝井さんの事を知らせようと何度もかけてくれたんだ。
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