クール上司と偽装レンアイ!?
翌日の午後から朝井さんが購買部のフロアへやって来た。

何度か顔を合わせた事は有るけど、二人で向き合って話すのは初めてだ。

凄く緊張している私とは真逆に、朝井さんはにこやかな笑顔で仕事へのやる気も伺えた。

購買メンバーへの挨拶も和やかなムードで進んだ。



本格的に引き継ぎを始める前に、私と朝井さんは別府課長に呼び出され、私にとって嫌な思い出の場所となってしまった、第３小会議室に向った。

ノックをして扉を開くと、８人掛けのテーブルの端に別府課長が座っていた。

いつもの様にノートパソコンを置き、難しい顔で眺めている。

朝井さんは別府課長の斜向かいに座り、私はその隣にそっと腰掛けた。

「朝井は神崎と同期だったな」

別府課長は私が初めて見るような笑顔を作り、朝井さんに言った。

「はい。神崎君は横浜支社、私は西東京支店だったので離れてましたけど」

「そうか。今日からは毎日顔を合わせる事になるが上手くやってくれよ」

「はい、分かってます」

朝井さんはどこか嬉しそうに答えた。

別府課長は満足そうに頷くと、ようやく私に目を向けて来た。
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