クール上司と偽装レンアイ!?
「葵には話しても分かってもらえない。優秀社員賞を貰って、異動して来てあっと言う間に別府課長の補佐にまでなって。私とは違い過ぎるもの。私の気持なんて葵に分かるはずがないよ」

言った途端後悔した。

醜い嫉妬。こんなの八つ当たりだ。

葵も驚いている。でも段々と私への怒りが生まれて来たんだろう。

「彩の言葉だとは思いたくない。今のお前、酷い顔してるよ。好きだとは思えない」

葵はそう言うと、私を視界から外すように検品に集中していった。

私は葵に言われた事がショックで、指先が震えて上手く検品作業が出来ない。

-好きだとは思えない-

自業自得なのに胸が痛くて視界が霞んで来る。

涙が滲んで来て私は慌てて顔を拭いた。

気付いているはずなのに、それでも葵は何も言ってくれなくて……私より何倍も早い速度で検品を終えると無言で部屋を出て行った。



卑屈で素直さも無い私は葵に見捨てられて当然だ。

分かってるけど悲しくて仕方ない。

葵の事、大好きなのに、離れたくないのにどうしてあんな事言っちゃったんだろう。


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