クール上司と偽装レンアイ!?
2時間に渡る歓送迎会も、終わりの時に近付いて来た。

歓送迎会の慣習で当事者からの挨拶をしなくちゃいけない。

朝井さんは感じの良い笑顔で、気の利いた話をして皆の笑いを誘った。

その次は私の番。

ただでさえ人前で話をするのが苦手だし、盛り上がった朝井さんの次って事でいつも以上に緊張してしまう。

上座に立った時には膝が震えてしまい,予め用意していた台詞なのに、声が震えてしまった。

「新入社員研修の後、購買部に配属になって、三年と五ヶ月経ちました。皆様には大変お世話になりました……」

自分でも何の面白みも無い挨拶だと思う。

でも、口にした途端、今までの思い出が頭の中を駆け抜け、感情が込み上げて来てしまった。

結局バイヤーにもなれなくて、ここ一週間は早く購買部から居なくなりたいって思っていて……良いところなんてあまり無いのに、最後の瞬間になってこの部署との離れがたい寂しさが込み上げて来た。

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