クール上司と偽装レンアイ!?
悲しみと怒りの混じった朝井さんの言葉から、葵は逃げる事はなかった。

「まどかだって想像出来ないだろ?」

「何が?」

「一時気の迷いだった。後悔しているって簡単に言うけど、裏切られた人間の気持ちを想像した事が有るのか?」

「分かってるよ……本当に悪かったと思ってるよ? でもあの時は私だって……」

「分かってないだろ? 本当に理解していたら自分からやり直したいなんて言えないはずだ」

「……」

「お前は勝手だよな? いつも自分の感情優先だ。だから彩に無神経な事も言える」

「私が無神経?」

「俺達の間に割り込んで来て、彩の気持ちを量るような発言するのは無神経とした言えないだろ?お前、彩が“仕方ない”って言った時の気持ち分からないだろ?」

「それは……分からないわ。私と広瀬さんは性格が全然違うもの。葵は分かるっていうの?」

「分かるよ……お前も誰かに裏切られたら分かるかもな。心を殺されるって感覚が」

「な、何言ってるの? 殺されるっておおげさすぎるよ!」

声を高くする朝井さんを、葵は最後は何の感情も無い目で見つめた。

「やっぱり、お前は昔と変わってないよな。けど俺はあの頃とは違う。もう俺達には関わるな。これ以上彩に余計な事を言ったら、お前は俺の敵になるからな」

「あ、葵!」

葵はずっと繋いだままだった私の手を引き、朝井さんの叫びに振り返る事もなく歩きだした。

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