クール上司と偽装レンアイ!?
葵の部屋の大きな履き出し窓からは綺麗な満月が見えた。

その少ししたには、どこまでも広がる煌びやかな夜景。

見とれていると、まるで攫うように広いベッドに押し倒され、私の視界は葵でいっぱいになった。

葵は私をまるで怒っているような、いつもより鋭い目で見下ろして来る。

「葵?……っ!」

声を封じるように、荒々しく口を塞がれる。

息も出来ないような激しいキス。
葵の熱い舌が押入って来て、私の思考を奪って行く。

静かな部屋の中に、私の吐息が微かに響く。

葵は時々息継ぎの時間を与えてくれたけど、直ぐにまた深いキスが始まる。

こんな風にされたらもう私は何も出来ない。

生理的な涙が浮かび頬を流れて行く。頭は真っ白になっていて葵にようやく解放された時はもう体の力は一切残ってなかった。

「苦しいか?」

葵は私の涙を拭いながら言う。

首をほんのわずかに動かし頷いた。でも葵は少し恐い顔をして言った。

「藤原の事ばかり気にしてたから意地悪したくなった」

思いがけない言葉に私は目を見開いた。

まさか……葵、ヤキモチやいてるの?

聞きたかったけど、それは実現しなかった。

「今日は俺の気が済むまで離さないからな」

そう宣言した葵にあっという間に服を剥ぎ取られ、そのまま組み敷かれてしまったから。

それからは敏感なところを一方的に攻められて、私は何も考えられずにただ声を上げるばかりだった。

「彩」

葵は何度も私の名前を呼び、強く抱き締めて来る。

こんなに葵が私を必要としてくれるなんて。

情熱的に何度も求められ、身体が溶け合うその時間は、至福の時だった。

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