クール上司と偽装レンアイ!?
「俺の事は気にしないで自分の仕事の心配しろよ。それ今日中に処理出来るの?」

神崎さんは私の机の書類を見ながら言う。

私も改めて確認する様に視線を手元に。

確かに全て今日中に終らせるのは結構厳しい量だった。

私の顔色で答えを察したのか、神崎さんはさっさと自分の仕事に戻っていった。

なんだか……いろいろと虚しくなってしまう。

要領が良くない自分に対して。

何時までも素気ない神崎さんに対して。

内心溜息を吐きつつ、私も仕事に取り掛かる。

私の業務のメインは納期調整。

毎日更新するリストを元に納期に遅れが出ないかを確認していく。

製品の数は膨大で結構根気が要る作業だ。

コツコツやる作業は嫌いじゃないからいつもは割りと集中出来るんだけど、今日に限っては駄目だった。

目の前の席が気になって落ち着かない。

神崎さんはどうして素気ないんだろう。
冷たい空気を醸し出すんだろう。

勇気を出して話しかけても、がっかりする返事しか返って来ないし。

そんな事を延々と考えていて、ふと思った。

私、さっきから神崎さんの事ばかり考えている。

それにちょっと冷たくされたからって凹んだりして……別府課長になんていつも怒られてるけどたいして引きずらないのに。

神崎さんへの関心、なんだか段々重症になってる気がする。

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