クール上司と偽装レンアイ!?


営業部に帰って行く藤原さんを頭を下げて見送ってから、直ぐに青陽社に連絡して納期調整に入った。

でも交渉は上手く行かなかった。

どうしよう……焦っていると会議を終えた神崎さんが戻って来て、私の顔を見ると眉をひそめた。

「何かトラブル?」

「えっ? あの……」

どうして分かるんだろう。

驚いていると神崎さんは私の机の上に有る、藤原さん作成のリストに気付いて手を伸ばして来た。

「あ、それは私が作ったんじゃなくて……」

「見れば分かる」

あっさり言い捨てると神崎さんはリストに視線を走らせ、その後いつもより更に不機嫌な顔になった。

なんか……怒ってる?

予想は見事当たったようで、神崎さんが低い声で言った。

「これ作ったの営業の藤原だろ?」

な、何で分かるの?

私の返事を待たずに神崎さんはガタッと椅子を鳴らして立ち上がった。

「あ、あの、どこへ?」

「営業部。藤原に文句言って来る」

……え?

あの藤原さんにクレーム?

う、嘘でしょ?

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