クール上司と偽装レンアイ!?
「客先の信用は対応の速さだけじゃ得られない。無理をして品質を落としたら意味が無いからな。購買部としては適当な商品を出す事は出来ない」

確かにそうなんだよね。

不良品なんて出荷しちゃったら一気に信用下がるだろうし。

藤原さんの言ってる事も、神崎さんの言ってる事もどちらも正しいと思う。
立場の違いから対立してるけど。

ただ、状況はあまりにも神崎さんが不利だった。

営業部のフロアで、人気者の藤原さんを相手にしてるんだから完全なアウェー状態で『なに、あの人?』って視線が痛すぎる。

いろいろと心配になってつい神崎さんのスーツの袖を掴んでしまった。

すると藤原さんと激しく口論していた神崎さんがピタリと口を閉ざし私を振り返った。

藤原さんもつられた様に私を見る。

二人に見つめられて一気に心拍数が上がってしまった私に、神崎さんがクールに言った。

「なに?」

「え……あの、そろそろ戻らないと」

「は? 今、打ち合わせの途中なんだけど」

う、打ち合わせってこれが?

言ってる事はちゃんとしてるけど雰囲気は喧嘩だったよね?

とにかく一度冷静になった方がいいと思う。
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