クール上司と偽装レンアイ!?
今日も残業。

月末のせいか、特に仕事が立て込んでいた。

購買部のメンバーが次々帰って行く中、ひたすらパソコンに向かい、書類を作成して行く。

気が付くと広いオフィスに一人きりになっていた。
壁にかかったまさにオフィスって感じの飾り気の無い時計を見ると、２２時を過ぎたところだった。

時間の経過の速さに軽く驚きながら、仕事の続きをする。

キリが良いところまで終らせて早く帰らなくちゃ。

焦りながら書類を確認していると、突然声をかけられた。

「まだ終らないのか？」

「ひっ！」

まさか人が居るとは思わなかったから椅子から腰が浮かぶくらい驚いた。

勢いよく振り返ると、そこには黒いコートを着た藤原さんが立っていた。

「悪い。驚かせた」

「あ、いえ……大丈夫です」

「……顔色が悪いけど」

藤原さんは私の顔をじっと見つめながら眉をひそめる。

整った顔のアップに思わず顔が熱くなってしまう。

赤面してそう。

「だ、大丈夫です」

慌てて顔を反らしながら言うと、藤原さんはフッと笑って言った。
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