クール上司と偽装レンアイ!?
「神崎、嫉妬か？」

「は？」

藤原さんのまさかの発言に、神崎さんはもの凄く不機嫌そうに顔をしかめた。

そりゃあ当然だよね。この状況で嫉妬なんて……有り得ない。

でも藤原さんはやけに機嫌良く言った。

「広瀬さんの事送って行けよ。お前車だろ？」

「えっ？　そんな、いいです！」

いくらなんでも送って行って欲しいなんて図々し過ぎると思う。

必死に否定すると神崎さんはヒンヤリとした目をして私を見た後、藤原さんに言った。

「お前が送ってやれよ」

そのままスタスタと歩いてフロアの扉の前に行き、一度も振り返らずに出て行ってしまった。




オフィスビルを出ると激しい大粒の雨がコンクリートの道路を叩いていた。

その様子を見て気を遣ってくれたのか、藤原さんが本当に送ってくれると言い出した。

何度か断ったけど、結局強引に車に乗せられ、どこにも寄り道をせずに真っ直ぐ家まで送って貰った。

「ありがとうございます」

玄関の前で深く頭を下げて藤原さんを見送る。

車のライトが小さくなって消えたのを見届けてから玄関のドアを開けた。
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