クール上司と偽装レンアイ!?
つい、じっと見つめてしまったせいか神崎さんが怪訝な顔をして言った。

「まだ何かあるわけ?」

「い、いえ……見積り取っておきます」

相変わらずの拒否オーラにビクビクしながら自分の席に戻った。

さっそく見積り依頼のメールをしようと画面に向き合うと、嫌でも無表情でキーボードに指を走らせる神崎さんの姿が視界に入って来てしまう。

今まであえて直視するのを避けていたけど、なんだか今日は気になって目が反らせない。

改めて見ると結構美形なんだ……彫は深い方だけど、パーツの形と全体のバランスがいいからかくどく見えない。

少し長めの前髪で隠れがちの目はよく見ると、すっきりとした切れ長でとても綺麗だ。

なんて思っていると、顔を上げた神崎さんと、真正面から目が合ってしまった。

見ていたのばれた?

慌てる私に、神崎さんは冷たく言った。

「広瀬さん」

「は、はい」

「ぼんやりしてないで、早く見積りとったら?」

「……はい」

仕事は出来るみたいだし、意外と顔もいいど、このドライな性格はやっぱり無理。
仲良くなれそうにない。


< 5 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop