クール上司と偽装レンアイ!?
「広瀬さん、大丈夫?」

ガックリする私の気持ちなんて知りもしない神崎さんは、不思議そうに言う。

全然大丈夫じゃないけど、真実なんて言える訳もなく私は作り笑いを浮かべるしかない。

「大丈夫ですよ、ちょっとボンヤリしちゃっただけです」

「そう」

神崎さんはあっさり相槌を打つと、スマホを取り出し自分の世界に入って行ってしまった。

状況的にも気持的にも置いていかれた気分。

まるで失恋してしまったような。

ああ、しばらく立ち直れそうにない。



それから私と神崎さんが付き合ってると言う噂があっと言う間に広がった。

好奇の視線を感じたりはしたけれど、真壁さんが突撃して来た朝のようなピンチは無くて、少し気まずいのを除けば落ち着いた毎日だった。
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