クール上司と偽装レンアイ!?
もう酔っ払ってしまおう。

別府課長も、何も言えない情け無い自分も消してしまいたい。

ゴクゴクと飲み干すと、目の前が霞んで来た。

頭がボンヤリとする。

その分、他人の目は気にならなくなった。

この調子で……そう思い、もう一つのグラスに手を伸ばそうとすると、不意に伸びて来た腕に止められた。

「もう止めとけよ」

「……」

「ちょっと外しただけなのに、何でこんな事になってるわけ?」

神崎さんは相変わらず淡々と、ちょっと呆れた顔をして言う。

その顔を見ていたらまた泣きたい気分になってしまう。

なんとか堪えていると、神崎さんは別府課長に向けて言った。

「すみません、俺達先に帰らせて貰います」

「そうか。いいぞ、広瀬も早く帰りたそうだしな。今日は金曜だしゆっくり泊まっていけよ」

笑いを含んだ別府課長の声。

嫌悪にクラクラする私の背中に力強い腕が回る。

「お気遣いありがとうございます」

神崎さんの余裕の声音が聞こえると同時に、私はもう滅茶苦茶な状態の宴会場から連れ出された。

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