クール上司と偽装レンアイ!?
こうやって神崎さんに手を引かれながら夜の道を歩くのは2度目だ。

あの時もドキドキしたけど、今はもっと鼓動が早い。

神崎さんは私を駅に向かう道の途中にある公園に連れて行き、空いていたベンチに座らせた。

「飲みすぎだろ? 強くないのに」

「だって別府課長が変な事ばかり言うから……」

「だからヤケになって飲んだって?」

コクコクと頷くと、神崎さんは呆れた様な声で言った。

「あんなの真に受ける事無いだろ、適当に流しとけよ」

「そ、そんな事言われても私には……」

神崎さんみたいに顔色も変えず冷静でいられない。

それに別府課長は悪酔いしてる割りに図星をついてくるし……。

「神崎さんは嫌じゃないんですか? 好き勝手言われて」

「別に。別府課長が酒に呑まれるのは何時もの事だし」

神崎さんは少し距離を置いて私の隣に座った。

その横顔からは今何を思ってるのか読み取れない。

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