クール上司と偽装レンアイ!?
「は、離してください」

「は? ちゃんと見ないと医者に行くか判断出来ないだろ?」

「で、でも、そんな所……」

言葉を濁すと神崎さんは察したようで、“ああ”と頷いた。

「別にいいだろ。付き合ってるんだし」

「え……」

付き合ってる?

今、神崎さんそう言った?

「でも……朝井さんは?」

思わず言葉が零れた。

「は? 何で朝井?」

神崎さんは眉をひそめる。

「だって、あんなに仲良さそうに一緒に居たし」

「同期だから話くらいするだろ?」

「そうだけど、でも朝井さんは元彼女だって……」

だから不安で仕方ないのに。

「……もしかして気にしてたのか? まどかの事」

神崎さんは少し驚いた表情でそう言ったけれど、私は返事が出来なかった。

神崎さんが朝井さんを“まどか”って呼び捨てしたのがショックで。

二人の関係を改めて突きつけられた気がして。
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