クール上司と偽装レンアイ!?
神崎さんはタクシーを拾うと、私を後部座席に押し込み、自分も隣に乗り込んで来た。

「田町まで」

ドライバーにそう言い、車が動き出すと私に顔を向けて来た。

「俺のマンションに行くから」

「え?」

衝撃発言にポカンとする私に、神崎さんは眉をひそめる。

「その傷早く手当てしないと駄目だろ?」

そ、そうだけど。

「それに話も有るし」

私だって聞きたい事、言いたい事は沢山有るけど……。

でも!

いきなり部屋に行くなんて……。

「そう言えば、広瀬さん実家だよな? 時間大丈夫?」

「あ、それは大丈夫ですけど」

つい正直に答えてしまうと、神崎さんは満足そうに頷いた。

でも……こんな曖昧な関係で部屋に行くなんて。

あまりに突然の展開に頭がついていかない。

不安だし、何を言われるのか恐い。

それなのに、『帰ります』って口に出来なかった。

したくなかった。

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