クール上司と偽装レンアイ!?
タクシーは田町駅から少し離れた高層マンションの前に静かに止まった。

「大丈夫か?」

神崎さんはそう言いながら私を支えてくれる。

「はい……」

本当は足も手も痛いはずなのに、それ以上に胸が高鳴っているせいか全ての感覚がフワフワして現実感が薄かった。

マンションは築年数はそれなりそうだけど、しっかりした造りをしている。

神崎さんの部屋は12階。

エレベーターを降りると、幅の広い内廊下に幾つかの扉が見えた。

神崎さんの部屋は一番奥だった。

「……お邪魔します」

広々とした玄関から繋がる廊下の正面と左右に扉が有る。

神崎さんは正面の扉を開け、私を中に促した。

その部屋は横に広がったリビング兼キッチンで、家具が少ないせいも有りとても広く感じられた。

私の家のリビングの倍は有りそう。

壁一面の吐き出し窓からは広がる夜景が見える。

ライトアップされた東京タワーが印象的だった。
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