雨の中のメロディー
でも美香は今までにない喜びをみせた。

和馬だった。

「和馬!」

美香が名前を呼ぶと和馬は微笑んだ。

「うちへおいで」

和馬は美香を自分の家へ呼んだ。
美香が拒むはずなんかない。

家に着くと和馬は美香を睨んだ。

「美香」

美香はびくびくしながら答えた。

「え、な、なに?」

「お前…恭平と知り合いだったの!?」

「え…恭平って?」

「伊東恭平だよ!」

「伊東…ってお兄ちゃん!?お兄ちゃんと和馬知り合いだったの?」

「知り合いもなにもあいつとは二人で教師を目指した仲だよ」

「二人とも教師になれたなんてすごいじゃん!」

「でもあいつはアメリカで日本語を教えてるからな。俺と逆だよな」

「でもなんで私とお兄ちゃんが知り合いって知ったの?」

「さっき久しぶりに恭平に会ったんだけどその時に美香をよろしくって言われたんだ。なんで美香をよろしくなんだ?」

「多分お兄ちゃんの初恋の相手が私だからじゃない?」

美香は嬉しそうに言った。

「うん。でもその時はまだ私は恋を知らないから断ったんだけどやっぱり好きになっちゃって」

「へー」

「告白しようとしてたらまさかのアメリカ。しかも帰国したと思ったら結婚」

「それが美香の初恋?」

「うん。そうだね!」

「最初からつらいな」

「うーん。和馬は!?」

「俺?俺の初恋は…」
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