雨の中のメロディー
「こんなとこかな?」

「…じゃない」

和馬は美香に聞き返した。

「え?なに?」

美香は俯きながら声を張り上げた。

「これ初恋の話じゃないじゃん!」

笑いながら和馬は答える。

「ばれた?初恋の話なんか聞いても楽しくないよ」

「どうして?」

「ただ切なくなるだけだからね…」

「私は今もう切ない」

「なんで美香が切ないの?」

「お兄ちゃんと和馬が中学生のころから仲良かったなんて知らない」

「俺は…多分知ってたよ」

「なんで!?」

「恭平って一人っ子だよな?」

「そうだよ」

「じゃあやっぱりあれはお前だったんだな」

「あれって?」

「俺の初恋の相手だよ」

「わ、私が!?」
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