雨の中のメロディー

もう無理

｢天くん…｣

美香は天に抱きついた。
天は優しく抱き返した。

｢美香ちゃんどうしたん？｣

｢もう…無理…｣

天はなんのことなのかわからなかった。
けどなんとなく恋愛なんじゃないかと思った。

｢もう無理なん？｣

｢うん…もう無理…｣

｢そっか。じゃあ僕にしとき｣

美香は黙った。
天は精一杯だったが外したと思い心中穏やかでなくなった。
沈黙が辛くなり何を言おうか天は悩んだ。
その時美香が口を開いた。

｢そうしとく…｣

そう一言と呟くと美香は天にぎゅっとした。
天はよくわからなかった。

｢え。僕でいいの？｣

｢うん…天くんと付き合う｣

｢美香ちゃんは僕が好きなんか？｣

｢…嫌いになる理由がないよ｣

天は喜んだ。
ここが外であることを忘れ叫んだ。

｢やったー！｣

街中の人がなぜか拍手した。
天は外にいることにやっと気付き恥ずかしくなり美香の手をとり歩きだした。

家まで送って天も家に帰った。


美香は和馬を諦めることにした。