天使の果実
「席着けー。授業始まるぞー。」
「ほら、座れ。」
担任が入ってきて諦めがついたのか、
悲しい顔のまま前の席へ向かって行った。
俺の席は、
一番後ろの窓側。
ここなら休み時間でも女子に騒がれないな…。
なんて考えながら空を見ていた。
カランッ
ん?
下を見ると、
鉛筆が1つ転がっていた。
俺が無意識に拾うと、
隣の子が肩をツンツンとしてきた。
「あ、お前の??」
その子はコクッと小さく頷いた。
はい、と俺が渡すと、
浅くペコッと頭を下げた。
…誰だっけ、この子。