君の王子様になるために
「お前、どうしてん? なんかあったんか?」
珍しく陽司が心配そうに聞いてくれて、ちょっと泣きそうになる。
そんで俺は、アホみたいに最近悩んでることを話した。
「…王子様とうまくいってへん?」
「そう、やねん…」
『王子様』って言うのは同じクラスの
大路弥生ちゃんのこと。
彼女も苗字のせいで、そういうあだ名やねんけど…。
まぁ俺と違って、ハキハキしとって性格も男前。
得意技はみぞおち蹴りっていう荒技やし…。
まぁ、なんていうか俺とは真逆の女の子って感じかなぁ。