好きなだけじゃ、だめ。
君
「萌ちゃんっ!」
大きな目を更に大きくして私の名前を呼ぶ君。
「わっ、萌ちゃん!?大丈夫?怪我は?」
少し転んだだけなのに血相を変えて私の名前を呼ぶ君。
「萌ちゃん、僕今すごい幸せ。」
優しく手を握りながら目を細めて私の名前を呼ぶ君。
「萌ちゃん...ずっと、隣で守るから。
まだ子供だけど、大好きな萌ちゃんは絶対僕が守るから!」
恥ずかしそうに、だけど真剣な目をして私の名前を呼ぶ君。
「だから...僕の隣でずっと笑ってて?」
そう言って柔らかく微笑む君に、私は......
もう君は、私の隣にいない。
君は今、画面の向こう側で柔らかく微笑んでいる。