好きなだけじゃ、だめ。
私の職業はアイドル兼モデル兼女優兼...いわばマルチタレントである。
と共に華のJK。
高校二年生。
学業と仕事の両立を絶対にさせたくて、芸能活動OKで仕事で早退遅刻欠席等をしても平気な進学校に進んだ。
おかげで学業に支障をきたさない程度に仕事ができ、成績も上の中はあるだろう。
あの子は芸能人だから勉強はできない、とか、あの子は芸能人だから学校には来ない、とか思われるのが嫌で、出来る限り学校に来ているし努力している。
今私は、頑張っている。
努力している。
そうやって自分に言い聞かせても安心出来ないのは、時代は進み続けるから。
頑張っても、努力しても、飽きたら捨てられる。
需要がなくなればそこで終わり。
それが煌びやかで誰もが羨む芸能界なんだ。
情なんかない。
ただでさえ女の需要は少ない、すぐ終わる。
賞味期限が短いのだ。
必要のないものはバッサリ切り捨てられていく。
まるで子供がお気に入りのおもちゃに飽きて手を離すように、私は置いていかれる。
時代の流れは、早い。
努力と結果が必ずしも結びつくことのないこの世界で生きている私は沢山の声と流行に追われながら逃げ惑う。
私は逃げるしかない。
何故ならもう、私の居場所はここにしかない。
この2年間芸能界というステージで努力してきた結果、白木萌は私であってわたしではないのだから。