平凡少年の非凡な日常
現れた半透明少女
高校の入学式。
僕はなれないネクタイを何度も結び直し、カバンを肩にかけて家を出た。
家を出ると、やはりどこも同じようで真新しい制服に身を包んだ学生たちが通学している。
新しくおろしたローファーが固くて、歩がぎこちなくなってしまう。
「あー...緊張する」
周りの人に聞こえないように独り言をつぶやいた。
高校は楽しみだけど、クラスメイトたちはどんな人たちがいるのだろう。
もし、不良ばっかりだったら...?
『おいおい、お前地味だなー...ちょうどいい、お前俺のパシリになれよ』
なんてことになったらどうしよう!!
僕はひとりで勝手に妄想して、顔を青くした。
やばい、どうしよう...帰りたくなってきちゃった...
ああだめだ、楽しいこと考えないと..!
そうだ、もしかしたらクラスの女の子は、可愛い子が多いかもしれない!
僕の隣の女の子は清楚系でメガネの可愛らしい女の子で...
もしかしたら、そこから恋が始まったり...
すごく楽しくなってきた!!
僕は気を取り直してカバンをかけなおすと、さっきよりも大股で学校に向かった。
その時、僕と同じ高校の制服を着た女の子とすれ違った。
その子はじっと僕を見つめていた。
黒髪で、柔らかそうなボブヘアー。
黒縁のメガネの奥の、髪と同じ色の瞳が僕を見つめていた。
僕も思わず歩みを止めてしばらく見つめてしまった。
すると女の子はくるりと僕に背を向けてかけていってしまった。
「...忘れ物でもしたのかな....」
でも、可愛い子だったなぁ...
僕は少しウキウキしながら、再び学校へと歩みをすすめた。