もう一度あの庭で~中学生によるソフトテニスコーチング物語~

その頃、東京都にあるソフトテニスの強豪校の職員室に怒鳴り声が響いていた。

「聞いてねぇぞ!あの野郎勝手にいなくなりやがって」

素行不良の目立つ生徒なのか教師は誰も止めようとはしない。

ソフトテニス部の顧問が真正面に向き合って対峙している。

「佐野のたっての希望でな部員には転校のことは伝えていなかった。

だが聞いていたら何だったと言うのだ?あいつは転校よりずっと前にソフトテニス部を退部しただろう」

「……くそっ」

憤りとやるせなさだけを吐き出して少年は職員室を後にした。

顧問の濱岡は小さく息をはいた。

「全中を制覇した元パートナー。やるせなさの原因は佐野が転校したからではなく、分かたれた道が決して交わることはないからだろうな……」

濱岡は来る関東大会のオーダー表を眺める。

「だが置き土産は一級品だ。全国二連覇も夢ではない」









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