恋じゃなく愛で。
薄暗い部屋に甘ったるい香水の匂いと煙草が混ざった匂いに酔う。



『はぁ?』


「まなぁーと。あんたの本当の名前は愛に人って書いてまなとって呼ぶのよー。」


『え、あぁ。』



「由来はね....あはは...アイツがつけたのよ。愛人の子供だから愛人って....ははは。」


酔っ払っている母の姿が1番嫌いだった。



『こんな時間から酒なんか飲むなよ。』 



「私達は捨てられたのよ...?憎いと思わない?あいつら。」


アイツら...?


「子供がいるらしいのよ。女の子。あぁーあんたも女の子だったらアイツはこっちにきたかなー...ははは、まぁ、そんなもんよね。」


『やめてくれよ。』


ピンポーン。

こんな時間に誰だろう?
母は、めんどくさそうに玄関へ行った。


「あら、華じゃないー!まーくん、華よ!」


僕は何故か、先ほどのテンションが吹っ飛んで玄関に突っ走った。


『華?なんできたの?』


華は手に紙と可愛くラッピングしてある袋を持っていた。


「あ、これー学級通信!それと、小春からバレンタインのチョコ!」


『玄関じゃ、アレだから、家はいりなよ。』


「うん。おじゃましまーす。」


華と母は仲がいい。


「華のパパは元気?」


『うん。元気だよ!』


そう、いつも母は、華の父のことを聞く。

別にそこまで深い理由なんてないと思っていた。
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