嘘つき偽彼氏
「じゃあ、またね!」
驚きで声が出ないあたしに
美夜ちゃんがにっこりと微笑んで手を振った。
それにつられてあたしも
何も言わずに手を振った。
そして横目で美夜ちゃんの横に立っている男の子をちらりと見た。
すると、男の子は
あたしに向かって軽く頭を下げると
美夜ちゃんと一緒に歩いていく。
あの………男の子。
あたしは遠のいていく二人の背中をじっと眺めた。
近すぎる二人の距離。
にこにこと微笑んで話す男の子の横顔。
たまに触れ合う二人の指先。
そんな二人を見て
ズキズキと痛むあたしの心臓。
あの二人、もしかして………
嫌な考えがあたしの頭の中によぎる。
でも、ただの友達かもしれない。
そんな淡い願いを考えながら
痛む心臓を抑えて
あたしもゆっくりと帰るために歩き出した。