嘘つき偽彼氏
そんな小さな後悔があたしの心をキュッと掴んでくる。
苦しい………。
息がしにくい。
あの男の子のことを考えるだけで…。
あたしは勝手に熱くなってしまった自分の頬に触れる。
「いい匂い……したな」
男の子が近づいたときに一瞬だけ香ったいい香りを思い出し、自分の体から湯気が出るんじゃないかってぐらい体を熱くした。
これが恋。
そのときは軽い気持ちで思ってた思い。
見てるだけの小さな幸せだった。
そのはずだっての。
まだ光太君のことも知らなくて
まだ美夜とも友達になってなかったとき
あたしはそうして光太君に出会って
恋をして
そしてこれから
辛くて悲しくて………
そんな恋が始まるなんて
このときのあたしは知る由もなかった。