嘘つき偽彼氏


「えっと……驚かせてしまってすみません」


そう言って驚くあたしに向かって深々と小さい頭を下げてくれた。


「え!あ、こ、こちらこそすみません」


あたしもつられるように頭を下げてしまう。

別にあたしは何も悪いことしをてないんだけど
……ってゆうかこの子も悪いことしてないし。


あたしは慌てて頭を上げて女の子に頭を下げないように言おうとした。


でも、あたしが頭を上げたとき
女の子はにっこりと微笑みながらあたしのことを見ていた。


え………あ……、可愛い。


不意の笑顔に胸がグッとなったよ、グッと!!


「あなたも誰か待ってるんですか?」


にこにこと微笑みながら話しかけてくれた女の子はそう言いながらベンチの隅に腰掛ける。


「あ、えっと……待ってるとかじゃなくて…」


好きな人を眺めるのがあたしの日課だから!


なんて言えない。


だってそんなこと言ったらあたし、
思いっきりストーカーじゃん!!


な、なんて言えばいいんだろう。


そんなことを頭の中でぐるぐると考える。


そして、出てきた言葉は───


「す、好きな人が頑張ってるのを見てるのが日課なの!!」


結局、あたしのお馬鹿な頭ではストーカーみたいな言葉しか言えなかった。











< 8 / 30 >

この作品をシェア

pagetop