嘘つき偽彼氏
な、なに言っちゃってんのあたし!?
変な言葉を言った自分に勝手に驚いてしまう。
あたしは慌てて女の子の方を見ると
女の子も目をパチクリさせてあたしの方を見ていた。
こ、これは完全に引かれちゃった?
って思ったのに
女の子の表情はにっこりとしたものにかわる。
「その気持ちわかるよ。好きな人が頑張ってるとつい見るのが日課になっちゃうよね」
そう言って笑ってくれる女の子。
その笑顔にホッとしてあたしも女の子と同じベンチに腰掛ける。
そして、弓道部の部活動が終わるまで
ずっと二人で他愛ない話をした。
────────……
そして、弓道場の明かりが消えたとき
女の子はベンチから立ち上がった。
「あたし、そろそろ行かないと」
「あ、あたしもそろそろ帰ろうかな」
そう言ってあたしもベンチから立ち上がって大きく伸びをする。
「今日は楽しかった!また話そうね」
そう言ってまた可愛い笑顔をあたしに見せてくれた女の子。
「うん!」
あたしもつられて笑顔で頷く。
あ、そういえばあたし……
この子の名前聞いてなかった。
「あ、あの───…」
「美夜!」
あたしの目の前でにこにこと笑っている女の子に名前を聞こうと口を開いたとき、
誰かが誰かの名前を大きな声で呼んだから
あたしの声はかき消されるようにして消えていった。
そして、美夜って名前の女の子は
あたしの目の前にいる可愛らしい女の子の事らしく、女の子はあたしに背を向けて声のする方に振り返る。
「あ!お疲れ様ー」
「ごめん、遅くなった」
遠くから走ってくる人の影に女の子……美夜ちゃんは大きく手を振る。
あやまりながら走ってきた人は
美夜ちゃんにの目の前で立ち止まる。
あたしはその人を見て
驚きで目を見開いてしまった。
え……………うそ…………。