たったひとりの君にだけ
そもそも、困っていたのは実加ちゃんだった。
放っておけなかった。
当時の私は、どん底から這い上がったばかりの彼女をいつも以上に気に掛けていたのかもしれない。
きっと、恐らく、いや確実に。
今思えば、どうしたのと声を掛けたのが運の尽きだったのだ。
金曜の夜。
彼女が女性幹事を務める合コンで、急遽参加人数が一人足りなくなってしまったことが原因だ。
というのも、それは現在私が担当する後輩のうちの一人、真智子ちゃんが当日になってインフルエンザと診断されてしまったからだ。
残念ながら他の同期はデートやら女子会やらで予定が埋まっていたらしく、最終的に、実加ちゃんは終始申し訳ないと口にしつつも私にお声が掛かった、というわけだ。
普段の私なら絶対に参加しないけれど、やはり、放っておけなかったという理由に尽きる。
それに、その日は丁度、瑠奈にドタキャンを喰らって暇だったところだ。
ちなみに、料金は全て向こうの男性側持ちという点に後押しされたことはオフレコ希望である。