たったひとりの君にだけ
席を立ってコートを羽織る。
19:00の待ち合わせまでにはまだまだ充分時間がある。
適当にウィンドウショッピングでもして時間を潰そう。
「メグ先輩!」
そう決めて、鞄を手に歩き出そうとした私のデスクに、元気な後輩が近付いて来た。
「お疲れ様です!」
「お疲れ様、実加ちゃん。どうしたの?」
先手を打って、用件を聞き出そうとした私に、彼女はニコニコと笑みを浮かべていた。
「あの、メグ先輩、今日この後、何かご予定ありますか?」
「え?」
「真智子とご飯に行くんですけど、よかったら一緒に行きませんか?」
そういえば、2014年を迎えてからは、新年会でしか彼女と飲んでいない。
そもそも、新年会でしか外で飲んでいないんだけど。