たったひとりの君にだけ
初めて彼氏が出来たのは、中学2年の秋。
既に家庭が崩壊していたときだった。
相手は学校イチの人気者で、確かサッカー部のエースストライカー。
外見に関しては申し分ない部類だった。
(話したことがなかったから中身は知らなかった)
ベタに体育館裏に呼び出され告白された。
その頃の私はまだ至って普通の人間で、適度に友達もいればそこまで折れ曲がってはいなかったと思う。
ただ、今と変わらないのは、好んで自分の話はしなかったし、本音を曝け出すタイプではなかったこと。
女子お得意の団体行動は苦手な方だったし、トイレくらい一人で行けばいいのにと思っていた。
だけど、ここは日本という国で、平穏な日々を過ごすにはそれなりの努力しなければいけない。
積極的にその輪を乱すことはしなかっただけだ。