たったひとりの君にだけ
けれど、交際を申し込まれ、特別断るような理由もなく付き合い始めたものの、クリスマス1ヶ月前には別れを告げた。
そのときは、クリスマス云々は関係なかった。
あまりにも束縛が酷く、耐え切れなくなった所為だ。
実質、交際期間は2ヶ月に満たない。
だけどきっと、それが反感を買ったんだと思う。
いとも簡単にサヨナラをした私に、所謂、奴のファンが怒り狂った。
付き合っただけでも気に食わないのに、何様のつもりだと。
だけど、直接文句を言いに来た勇気ある集団に、私は平然とした顔でこう言ってやった。
『自分一人じゃ何も出来ない人間が、人の色恋沙汰に口出しすんじゃないわよ』
効いたんだと思う。
右頬が痺れたことが何よりの証拠だった。
だけど、すぐにやり返した。
予想外の展開に、驚き目を見開いた相手にトドメを刺した。
『喧嘩ならいつでも買うわ。でも、言っとくけど、喧嘩っていうのは所詮、頭の使い方次第なのよ。拳じゃない、権力よ』
見るからに空っぽそうな頭。
一人ぼっちの覚悟もない甘ちゃん。
そんな奴等が、学年首席から落ちたことのない私に勝つなんてありえなかった。
明らかに怖気づき、取り巻きと共に去る姿を見て、呆気ないなと思った。