たったひとりの君にだけ

コンロの上では、ホワイトソースの入った鍋の隣でポトフがぐつぐつ言っている。

目指すは街の洋食屋。
買ったばかりの桜色のランチョンマットを敷こう。

あとはサラダ。
そして、チキンライスを卵でくるんでホワイトソースをかければ完成だ。

その前に浴槽でも掃除しようと思った私は、キッチンを後にリビングに戻った。

そして、ベージュでチェック柄のエプロンの紐を緩めていると、テーブルの上に置いていたiPhoneが着信を知らせた。

近付いて手に取ると、画面には恒例の高階充と書かれている。

毎日毎日、送られて来る。
一日だって欠かさない。
本当にマメだなと思う。

どうせまた、ラーメン食べましたの報告なんだろうな、と思いながら、私はメールを開封した。


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