たったひとりの君にだけ
chapter.10
見れば見るほどに。
話せば話すほどに。
聞けば聞くほどに。
そして、知れば知るほどに。
やはり真逆の道だと自覚する。
貰ったおすそ分けの袋の中には、沢山の青森の名産品。
けれど、数日経った今も、何ひとつ手を付けられずにキッチンの隅においてある。
“実家からの救援物資”
その響きさえも遠くて。
惨めに感じる自分がいた。
届かない。
こんな私を、バカだと今までの私が嘲笑う。