たったひとりの君にだけ
あれから3日が経つけれど。
確かに、瑠奈様の仰るとおり。
私は気付くのが遅かったのかもしれないと認めざるを得ない気がしていた。
いつからだったんだろう。
考えるのも一苦労で。
けれど、ひとつだけ。
たったひとつだけ。
わかり切っていることは。
樹のときは感じなかった。
顔を近付けられて、無理矢理キスされそうになっても。
跳ね上がる鼓動なんて少しも感じなかった。
むしろ、冷静に、頭突きをするか急所を蹴るか考えていたくらいで。
私は1ミリも取り乱さなかった。
それが、答えだと。
そう、自分でわかったからこそ。
惹かれていると。
彼が好きだと自覚した。