たったひとりの君にだけ
「何言ってんのよ。今日のメインはこれ」
そう言って、私はテーブル越しに有名百貨店の紙袋をひとつ手渡した。
「ハッピーバースデー、瑠奈。27歳おめでと」
「年齢は余計だっ」
「事実なんだから仕方ないでしょ。現実から目を逸らしたら負けよ負け。ちなみに中身はエスティローダーのクリスマスコフレね」
瑠奈の小言を一蹴して、報告を完了させた私は100%には程遠いオレンジジュースを体内に流し込んだ。
私の本日の任務は無事終了だ。(というより、今年の任務自体が終了です)