たったひとりの君にだけ
通話履歴を見つめつつ、緩んだ顔を元に戻そうとするけれどなかなか上手くいきそうにない。
きっと、残業がなければ今すぐにでもラーメン屋に駆け込んで、大盛りを注文して調子に乗って替え玉なんかも頼んで。
勿論、横には餃子も1人前置かれていて、軽くそれらを平らげる。
あんなにペロッと胃袋に放り込んで、お腹を壊さないのかなといつも思う。
だけど、結局は、いくら残業が長引いたってラーメン屋を探してから帰るんだと思う。
ついさっきまでラーメン腹だったのを、いとも簡単に変えられるはずもないのだから。
きっと、直後に『ラーメンなう』というメールが来て、私はそれを見ながら微かに目尻を下げてしまうんだろうな、と思いながら、私はiPhoneのアドレス帳を開き始める。
もう、迷わない。
私、高階充が好きだ。
本気で好きだ。
前に進みたい。
だからこそ、その前にやらなければいけないことがある。
自分が撒いた種だ。
後始末はしっかりとしなければいけない。
メールを送ったばかりだけれど、私は一息ついて電話を掛けた。