たったひとりの君にだけ



指定された日付は2月14日。

あれから3日が経過していた。

気温は平年並み。
吐く息は相変わらず白い。

勝負の日と名付けよう。


化粧室で念入りにメイク直しを施した私は、デスクに戻ってコートを羽織った。

日付が日付で、しかも華の金曜日だけに、オフィス内は朝から和やかで明るい雰囲気だった。
気合い充分な髪型が目に付くし、給湯室の冷蔵庫もいつも以上に綺麗な箱が詰め込まれていた。

当然、ほとんどが定時帰宅を目標に仕事に集中し、今は人も疎らである。

私はいつもと大して重さの変わらないバッグを片手に、挨拶をしてフロアを後にした。
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