たったひとりの君にだけ
そして、帰りの電車の中で、私は一通のメールを送った。
昨晩、突然の残業に見舞われ帰宅が遅くなりながらも。
自分の夕飯そっちのけでキッチンに居座り、焼き上がるあいだに何度も何度も打っては消して打っては消してを繰り返し、ようやく作成したたった一文の短いメール。
ラッピングをする時間も考えて、今朝は冗談抜きで早起きで、寝不足が祟って何度も睡魔に襲われ大変だったけれど。
喜ぶ顔を想像すれば、結局はそんなことどうでもよかった。
一大決心の念を含んだ、冷蔵庫に眠るアレを渡す為に。
そう。
自分の気持ちを伝える為に。