たったひとりの君にだけ
元気よく今年の目標(正しくは残り3ヶ月弱)を口にする、実加ちゃんこと櫻井実加ちゃんは、私が担当する後輩のうちの一人だ。
納得するまで尽力するタイプで、2年目以降の営業成績は悪くない。
彼女が社会人1年目の頃は、私はまだ現在のトレーナーではなく誰もが経験する通常の保険営業業務を行っていたのだけれど、彼女とは歓迎会で隣の席になったときから割りと早く打ち解けて、今では何でも相談してくれるような仲だ。
しかしながら、一方で、実加ちゃんは初めて担当したトレーナーとなかなかそりが合わず、何度も悩みを口にしていた。
そして、営業以上にそちらに気を遣った結果、同期にかなりの差をつけられてしまった。
放っておけなくなった私が飲みに誘うと、泣きながら心のうちを曝け出してくれた。
人間関係もうまくいかない、契約なんてうまく取れない、もう辞めたいと。
けれど、何時間も向き合い、話し合った結果、踏み止まった彼女は数ヶ月後に見事に底力を発揮することとなる。
(ちなみに、そのトレーナーは現在は退社している。正直、オフィス内でも割りと浮いているような人だった)
そして、現在はトレーナー職へと進んだ私が2年目以降の彼女を担当している、というわけだ。
約2年前。
トレーナーとしては新米の私と、社会人2年目で再スタートを切ったような実加ちゃん。
共に成長、歩んで来たと言っても過言ではないだろう。
だからこそ、私は彼女を努力家だと断言する。
自分で言うほど、私に迷惑とやらを掛けることも少なくなった。
ただ、少しだけおっちょこちょいなのがネックで、たまに同行する営業先でドキッとさせられることもある。
実際にはそれがウケて契約、というパターンも無きにしも非ずだけど。
3年目の彼女は、2月末までに自身の進路を決めなければならない。
心の中ではある程度決まっているのだろうか。
今月中に面談を行う予定だ。
そこでまた、たくさん話を聞こう。(雑談にならないように気を付けなければ)