君のそばにいてもいい?
始まり
キーンコーンカーンコーン…
「あ、鳴っちゃった。じゃ、また後で葉月の席に行くね!」
と、雅は自分の席へと戻っていった。
そして、明日からは夏休み。
私の通っている学校は3学期制だから、通知表が配られる。
「…夏実…有田 雅!…」
出席番号順にどんどん名前が呼ばれ、通知表を受け取る。
私が呼ばれるのはあともう少し。
それでぼーっとしていると…
「うっわ…さすがだなー!」
と、クラスの男子が騒ぐ。
ま、どうせあいつの成績が良かったんだろうな…と私は思いながらその人を見てみると、
「やっぱ頭いいなー桐谷くんは!」
見事に私の予想は的中。
“あいつ”とは、
『桐谷 蒼(きりたに あおい)』
のことだ。
眼鏡をかけていて、雅と同じテニス部に所属している。
まつ毛が長くて女装しても、男子だってばれないんじゃないかと密かに思う。
…と色々思ってる内に、
「…許斐 葉月!」
通知表を受け取り、自分の席に座る。
そっと中身を見ると…
「…まずまずといったところか」