君のそばにいてもいい?
大きな音の正体
『…蒼くん…っ』
… "蒼くん"…?
「…桜井…?」
桐谷はそう言うと、私の元を離れ、
図書室の鍵を開ける。
ガラッ
「…!あ、あおい…あおいくっ…!」
そう言いながら、桐谷に抱きつく声の主。
やっぱり、さっきの音と声は、麻結美ちゃんだったんだ…
麻結美ちゃんは桐谷に抱きつき、
泣きながら
「蒼くん…蒼くん…」
と何度も桐谷の名前を呼ぶ。
すると桐谷は麻結美ちゃんのことを抱きしめた。
…胸が締め付けられる。
私はその姿を見るのが耐えられなくなり
「…あ…私…」
重い口をやっと開き、
「教室…戻る…ね」
と言い残し、図書室を去る。
私は走った。
走って走って走って。また走って。
「…こんな涙、早く乾けばいいのに。」