君のそばにいてもいい?

「…葉月」

雅がやっと口を開く。

「…桐谷にはちゃんと自分の気持ち、伝えた?」

私は首を横に振る。

「…本当はさっき、私の気持ちを桐谷に伝えようとしたよ…でも…」

「麻結美ちゃんが来たんだ」

「…うん」


「ねぇ葉月」

雅が改まって言う。

「…私、桐谷にちゃんと気持ちを伝えた方がいいと思う。」

「…雅、今までちゃんと話聞いてた?」

…聞いてもらってるのになんていう言い方してるの私。

「私が桐谷を求めれば求めるほど、麻結美ちゃんが…」

「 “苦しまなきゃいけなくなる” でしょ?」

雅がそう言うと、私は黙り込む。

「…だからこそ、伝えなきゃいけないんじゃないかなぁ?」

「…だからこそって…何で…」

「それは葉月自身が見つけなきゃいけないことだと思うよ」

雅はきっぱり言う。

「…じゃあさ、聞くけど、葉月は桐谷を麻結美ちゃんに取られてもいいの?」

< 60 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop